ラテン語な日々

〜「しっかり学ぶ初級ラテン語」学習ノート〜

第4回課題(2019.7.7)

練習問題9-1

Cibī condīmentum famēs est.
(シービー コンディーメントゥム ファメース エスト)

Cic.Fin.2.90)

出典:「 Dē Fīnibus Bonōrum et Malōrum」(キケロー『善と悪の究極について』)

Cicero: de Finibus II

 

【語彙と文法解析】

cibus -ī , m 1. 食物、食料:栄養 2. えさ、おとり 3.(比喩的に)糧、燃料
cibī は、第2変化名詞 Cibus の 男性・単数・属格または 複数・主格(呼格)

condīmentum -ī, n 1. 香辛料、薬味<alcs rei:物・事の属格>
condīmentum は、第2変化名詞 condīmentum の中性・単数・対格または複数・主格(呼格)

famēs -is, f 1. 飢え、空腹 2. 飢饉 3.(文体の)貧弱 4. 欲望<alcis rei>
famēs は、第3変化名詞(i幹名詞)の女性・単数・主格(呼格)または複数・主格(呼格)または複数・対格

sum:不定法はesse Ⅰ(存在詞)(略) Ⅱ(繋辞として) 1. 〜である(以下略)
estは、不規則動詞 sum の直説法能動態現在第三人称単数形。

 

【逐語訳】

 Cibī(食物の)condīmentum(香辛料)famēs(空腹は)est(〜である).

 

【訳例】

空腹は食べ物の味付けである。

 

(古典の鑑賞)

キケロー「善と悪の究極について」の一節でした。主題はエピクロスの「善」と「快」についての論考と思われますが、この言葉自体は、ソクラテスの弁とのこと。エピクロス主義についてのキケローの論考はやや誤解を含むと「物の本質について」(ルクレーティウス)の解説に訳者が書かれていましたが、ここでキケローが吟味している「快楽」は、エピクロスの「快」とは異なるようです。とはいえ、今回「キケロー選集10」を図書館で借りてきたのですが、見返しにキケロー選集配本の月報(5)が添付されており、何気なく読むうちに、「ヨーロッパの精神史の節目には、プラトンではなくキケローが決定的な刺激を与えている」(角田幸彦)という文脈にふれ、「そうなのか」と開眼させられました。山下先生が「キケロー選集11」を訳出されていることも今回はじめて知りました。お恥ずかしい限りですが、改めて、ラテン語の勉強に魅力を感じた課題となりました。