ラテン語な日々

〜「しっかり学ぶ初級ラテン語」学習ノート〜

第14回課題(2019.10.5)

練習問題27-1

Factus est consul bis.

Cic.Amic.11
Cicerō, Dē Amīcitiā.
キケロー「友情について」

Cicero: de Amicitia

 

【語彙と文法解析】

faciō -cere(不定法) fēcī(完了) factum(目的分詞)(受動相: fīō(現在) fierī(不定法) factus sum(完了の受動態)), tr(自動詞), intr(他動詞)
Ⅰ (tr) ① する, 行なう.② 作る, 形づくる 〈alqm [alqd];alci alqd〉.中略 ⑳ 指定する, 任命する 〈+2個の acc〉.以下略
factus は 第3変化動詞 faciō の完了分詞。完了分詞は形容詞なので、主語の性・数・格に合わせて変化し、ここでは男性・単数・主格。

sum esse不定詞)fuī(完了形), intr(自動詞)
est は 不規則動詞 sum の直説法・能動態・3人称・単数・現在。

Factus est で、完了分詞+sumの現在 にて、faciō の直説法・完了・受動態を表す。

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consul -sulis(属格), m(男性) 執政官《共和制期ローマの最高官職;毎年2名を選出》
consul は第3変化名詞 consul の男性・単数・主格(呼格)。ここでは主格で、faciō の主格目的語。

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bis adv(副詞) ① 2度, 2回 以下略

【逐語訳】

Factus est(彼は任命された) consul(執政官に) bis(2度).

 

【訳例】

 彼は2度執政官に任命された。

 

(古典の鑑賞)

キケロー「友情について」11節の一節でした。図書館で「老年について 友情について」(大西英文訳 講談社)を借りてきて読んでみました。

相変わらず、登場人物の相関がややこしい。「友情について」の執筆時期は44年夏または初秋。キケロー最晩年の作品となる。友情について語っているのはガイウス・ラエリウス。キケローが青年の頃、師であった鳥卜官スカエウォラ(ラエリウスの娘婿)から聞いた話という設定らしい。

ラエリウスは、140年の執政官で、小スピキオー(スキピオー・アエミリアヌス)の無二の親友であったことは、稀代の語りぐさになるほどだったので、キケローが友情論を執筆するにあたり、ラエリウスの口を借りた、ということのようです。

ラエリウスの同姓同名の父(190年の執政官)も、大スキピオー(スキピオー・アフリカヌス)のこれまた極めて親しい友人だったことが、ラエリウスと小スキピオーの交わりのベースになっている、などというところもややこしい。

話は、小スキピオーの唐突な死の数日後、無二の親友だったラエリウスが、娘婿の鳥卜官スカエウォラとファンニウスの求めに応じて、友情について語っていく流れに。

その冒頭、「あの人の生涯が輝かしい幸い授かったものではなかった、などと言う者などいるだろうか」との書き出しで、小スキピオーの特筆すべき経歴を述べていくのですが、「彼は、みずから執政官職を求めることがなかったにもかかわらず、二度、執政官に選ばれている」(高橋訳)と今回の課題のくだりとなります。

小スキピオーの死については、謀殺説もあるようです。キケローは何を訴えたかったのでしょうか。いつの日か、先生のご著書『ラテン語を読む キケロー「スキピオーの夢」』にも取り組んでいけるよう、文法の勉強、がんばりたいと思います。