ラテン語な日々

〜「しっかり学ぶ初級ラテン語」学習ノート〜

第16回課題(2019.10.19)

練習問題30-4

Nōn convalescit planta quae saepe transfertur.

Sen.Ep.2.3
Seneca, Epistulae Morālēs
セネカ「倫理書簡集」

Seneca: Epistulae Morales, Liber I

 

【語彙と文法解析】

nōn adv(副詞)① ...でない(以下略)

convalescō -ere(不定法) -valuī(完了形), intr(自動詞)① 強くなる, 力を増す.(以下略)
convalescit は 第3変化動詞 convalescō の 三人称単数現在形。

planta -ae(属格), f(女性)① 接ぎ穂, 挿し枝;苗.② 植物, 草木.
planta は第1変化名詞 planta の女性・単数・主格または呼格。ここでは主格。

quī quae(女性) quod(中性), pron(代名詞), adj(形容詞)
Ⅰ (adj interrog)① どの, 何の, どのような(以下略)
Ⅱ (pron relat)(関係代名詞)
Ⓐ (+ind)(直説法)① (事実関係)...するところの(人・もの) ② (is qui, sunt qui などの形で)
Ⓑ (+subj)(接続法)(以下略)
quae は 関係代名詞 quī の女性・単数・主格または女性・中性の複数・主格または中性・対格。ここでは 先行詞 planta に合わせて女性・単数・主格。

saepe adv(副詞)しばしば, 頻繁に.

transferō -ferre(不定法) -tulī(完了) -lātum(スピーヌム), tr(他動詞)
① (ある場所から他へ)運ぶ, 移送する.② 場所を変える, 動かす, 移す;移植する
(以下略)
transfertur は 第3変化動詞 transferō の受動態・三人称単数現在形。

 

【逐語訳】

Nōn(〜でない) convalescit(強くなる) planta(植物は) quae(〜するところの) saepe(頻繁に) transfertur(移植される).

 

【訳例】

何度も移植される植物は強くならない。

 

(古典の鑑賞)

セネカ『倫理書簡集』第1巻書簡二の一節でした。今回も『セネカ哲学全集5』(高橋宏幸訳・岩波書店)を図書館で借りてきて読んでみました。

哲学的著作が手紙形式をとることはよくあるらしく、以前の課題で、ホラーティウス『書簡詩』は手にしてみたことがあるし、書棚を眺めてみると『エピクロース 教説と手紙』(出隆・岩崎允胤訳・岩波文庫)が並んでいました。

たぶん、『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』という本を読んで、ルクレーティウスの『物の本質について』を知り、そこからエピクロースに興味を持ったんだと思いますが、そのうち、所蔵していることも忘れていました。

で、今回の課題。「植物も何度も移植すると強くならない。」(高橋訳、以下同じ)
何のことかと思うと「ありあまる数の本は集中を妨げる。」「世に認められた作家をいつも読みたまえ。他の作家へ移りたいと思ったときは、以前に読んだ作家に戻りたまえ。」と続きます。ああ、だから quae saepe transfertur なのね。

次から次へと、ただ知識欲を満たすだけで、肝心の基礎(文法)がおぼつかない。先生がご著書で紹介されている「暗記に精を出さなくなること」というカエサルの言葉を、いつも思い出します。

最近、スマホアプリと連動する暗記用のマーカーを買ってきて、活用表をスマホに取り込んで、暗記に精を出そうとしているのですが、やっぱり書かないとダメですね。でも少し、暗記する感覚というか快感?を思い出したような気がします。

MINUS MEMORIAE STUDERE.

とりあえず、今日は、これを覚えることにします。(笑)

 

 

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