ラテン語な日々

〜「しっかり学ぶ初級ラテン語」学習ノート〜

第18回課題(2019.11.2)

練習問題34-2

Platō ūnō et octōgēsimō annō scrībens est mortuus.

Cic.Sen.13
Cicerō, Dē Senectūte
キケロー「老年について」

Cicerō: de Senectūte

 

【語彙と文法解析】

Platō(n) -ōnis(属格), m(男性)プラトー(ン)《ギリシアの哲学者(前427?‐?347);Socrates の弟子;Academia 学園を開いた》.
Platō は 第3変化名詞 Platō の男性・単数(単数のみ)・主格または呼格。ここでは主格で文の主語。

ūnus -a(女性)-um(中性)ūnīus(属格)ūnī(与格), numeral(基数詞)1

octōgēsimus, -a(女性)-um(中性), numeral(序数詞)80番目の, 第80の;80分の1の.

ūnus も octōgēsimus も 第1・第2変化数詞の男性・単数・与格または奪格、あるいは中性・単数・与格または奪格。ここでは、ūnus et octōgēsimus で次の annōを修飾する。男性・単数・奪格。

annus -ī(属格), m(男性)① 年 以下略
annō は 第2変化名詞 annus の男性・単数・与格または奪格。ここでは奪格。

scrībō -ere(不定法)scripsī(完了)scriptum(スピーヌム), tr(他動詞)(intr 自動詞)① (線を)引く, (図を)描く.② (文字を)刻みつける;記す, 書く.(中略)⑪ 著述[著作]する.⑫ (手紙を)書く, 書き送る
scrībens は 第3変化動詞 scrībō の能動態・現在分詞で、男性・単数・主格または呼格。ここでは修飾する動詞の主語に合わせて主格。形容詞の副詞的用法。

sum esse不定法)fuī(完了), intr(自動詞)
Ⅰ (存在詞)① ⒜ 存在する, ある, 居る (以下略)
Ⅱ (繋辞として)① ...である (以下略)
ここでは mortuus sum の形で morior の 完了形をつくる。

morior morī(不定法)mortuus sum(完了), intr(自動詞)dep(形式受動相)① 死ぬ.(以下略)
est mortuus は形式受動態動詞 morior の直説法・完了、3人称単数。
プラトーンは(Platō)死んだ(est mortuus)」。

 

【逐語訳】

Platō(プラトーンは)ūnō et octōgēsimō annō(81歳で)scrībens(書きながら)est mortuus(死んだ).

 

【訳例】

プラトーンは81歳で書きながら亡くなった。

 

(古典の鑑賞)

キケロー「老年について」13節の一節でした。今回は『老年について』(中務哲朗訳、岩波文庫)を図書館で借りてきて読んでみました。

自分自身、初老なので関心を持てたのと、小篇というのも手伝って、今回は、作品を通読することができました。

キケロー以前のギリシャ・ローマ文学では、「老い」は忌まわしく惨めなものとして表現されていたそうですが、この作品が描くそれは、とてもポジティブで快活です。つまるところは、「老い」というものは、それまでの人生の結果であって、各々の人生に相応しい老年を過ごすのだ、ということなのかなと思いました。

語り手の大カトーも、引き合いに出される歴戦の名将、文人、政治家の面々も、ローマ帝国を築き、その繁栄を支えた英雄たちですから、その老年のあり方も、「老いて尚」というか、社会や一族に対する影響力を誇るところなどは、その社会的ステータスの高さゆえの、気高さというものでしょうか。

まあしかし、凡庸な人生を過ごした身としても、この世に生をうけて、幸運にも老年まで過ごさせていただいたのですから、何某か、次の世代に残せるものがないか、考えてみたいと思わせてくれる作品です。

ところで、学生時代、「小カトー」と渾名する先輩がおられまして、さらに上級に「大カトー」なる先輩がおられるから、と聞かされていたのですが、ギリシャ・ローマ哲学に由来する渾名だったのかと、今更ながら、気が付きました。いや、教養というのは、何かにつけて、大切なものです。

ちなみに、「書きながら死んだ」というのは、大作『法律』(死後、「法律について」として刊行)を未完に残したことを暗喩しているとか。ラテン文学の尋常でない注釈の多さは、作品の前提するこうした暗黙知の多さのためなのですね〜。