練習問題5-3
Caesar suās cōpiās in proximum collem subdūcit.
(カエサル スアース コーピアース イン プロクシムム コッレム スブドゥーキト)
【学習課題】
名詞と形容詞1 第1・第2変化形容詞
【語彙と構文分析】
動詞は、語尾-itから第3変化動詞subdūcōと推測。「引き上げる」「撤退させる」。直説法・能動態・現在・三人称・単数。
主語はCaesarでしょう。第3変化名詞で、男性・単数・主格。
in proximum collemは副詞句と考えて、とりあえず後回し。
subdūcōの目的語となる対格の名詞を探すと、語尾-āsから第1変化名詞cōpiāと推測。「軍勢」。女性・複数・対格。
suāsは再帰的所有形容詞suusで「彼自分の」。cōpiāsに合わせて女性・複数・対格。
in+対格で「〜に向かって」「〜の上へ」。
collemは語尾-emから第3変化collisと推測。「丘」。男性・単数・対格。
collemにかかる形容詞proximumは、対格の語尾-umから第1・第2変化proximusと推測。「最も近い」「すぐ後ろの」。collemに合わせて男性・単数・対格。
【逐語訳】
Caesar(カエサルは)suās(自身の)cōpiās(軍隊を)in proximum collem(すぐ後方の丘に)subdūcit(撤退させる).
【訳例】
カエサルは自身の軍隊をすぐ後方の丘に撤退させる。
(古典に親しむ)
カエサル「ガリア戦記」第1巻の一節でした。今回は最近手に入れた『ガリア戦記』(國原吉之助訳・講談社学術文庫)を読んでみました。それから、図書館の蔵書検索でたまたま見つけた『マンガで読破 ガリア戦記』(イースト・プレス)も試しに読んでみました。
講談社学術文庫の方は、本屋さんでカール・マルクスの『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』と並んで平積みされていたので思わず2冊とも衝動買いしてしまいました。(笑)
「マンガで読破」の方は、文庫版190頁で、一気に読めました。以前、「アエネーイス」がピンとこなくて、映画「トロイ」を観てみたことがありますが、「ガリア戦記」も当時のヨーロッパの地名や部族名がたくさん出てくるので、マンガでイメージを膨らませることができて、割と良かったです。
講談社学術文庫では、各章ごとに名前がふってあり、第1巻は「一年目の戦争(紀元前五八年)」、2章は「ヘルウェティイ族との戦い(2〜29節)」です。
今回の課題文は22節。ガリア総督1年目、最初の戦争。まだ自軍も手薄(4個軍団に新たに募集した2個軍団。1個軍団は6千人)で、ガリア全土への覇権を目指して大挙して押し寄せるヘルウェティイ族(兵力9万?)を前に、歴戦の士官たちも大きな恐怖心を抱いたようで、偵察に出た士官が見てもいない自軍に不利な戦況を報告したため、カエサルは一旦自軍を丘の上に引き上げた、というのが課題文のくだりでした。