ラテン語な日々

〜「しっかり学ぶ初級ラテン語」学習ノート〜

第8回課題(2020.11.7)

練習問題10-5

Facit indignātiō versum.
(ファキト インディグナーティオー ウェルスム)

Juv.1.79

ユウェナーリス「風刺詩」

Juvenal I

 

【学習課題】

名詞と形容詞2 第4変化名詞

 

【語彙と文法解析】

動詞はfacitで、第3変化動詞Bのfaciōの直説法・能動態・三人称単数現在形。「作る」

versumは補語で、第4変化名詞versusの男性・単数・対格。「詩を」

主語はindignātiōで、女性・単数・主格(呼格)。ここでは主格。「義憤が」

 

【逐語訳】

Facit(作る)indignātiō(義憤が)versum(詩を).

 

【訳例】

義憤が詩をつくる。

 

(古典の鑑賞)

ユウェナーリス「諷刺詩」第1章の一節でした。今回も『ローマ諷刺詩集』(国原吉之助訳、岩波文庫)を図書館で借りてきて読んでみました。

第1章通読してみて、正直に言って、何が書かれているかよくは分からないのですが、詩人が怒っていることは分かります。(笑)

いや、本当は、怒るべきことがらを題材に詩を書いただけ、なのかも知れません。つい、ペンが走ってしまって追放となったオウィディウスの例もありますから。

ともあれ、詩人は「偉大な詩人ルーキーリウスが、競馬を走らせたのと同じこの原野を駆け回りたいと思い立」ち、叙情詩でも教訓詩でもない、諷刺詩を書いたのです。

実際、遅咲きだったユウェナーリスは、修辞学などを深く学び、ルーキーリウスやホラーティウスら先人よりも、さらに技巧的な詩を書いたようで、その美しい韻律を持つ警句は、シラーなど後世の多くの作家に影響を与えた、とのこと。

と言われると、その韻律を鑑賞してみたくなるのですが、今回はストンと落ちませんでした。(涙)

韻律がわかるようになると、詩吟と同じで、ラテン語を学ぶ喜びもより大きくなるように思うのですが・・・。

 sī nātūra negat, facit indignātiō versum

 「たとえ才能が否と言っても、義憤が詩を作る」

<韻律分析> ※六脚律

sī nā/tū-ra ne/gat, fa-cit / ind-ign/ā-ti-ō / vers-um
シー ナー|トゥーラ ネ|ガト ファキト|インディグナ|ーティオー|ウェルスム
長長    長短短    長短短     長長     長短長   長短

こういう時は、もちろん、知らないこと(分かっていないこと)があるはずなのですが、それが何なのか調べるのがむずかしい。ラテン語は、簡単には心を許してくれないです。