ラテン語な日々

〜「しっかり学ぶ初級ラテン語」学習ノート〜

第12回課題(2020.12.5)

練習問題14-3

Carpent tua pōma nepōtēs.
(カルペント トゥア ポーマ ネポーテース)

Verg.Ecl.9.50

ウェルギリウス「牧歌」

P. VERGILI MARONIS ECLOGA NONA

 

【学習課題】

動詞2 直接法・能動態・未来

 

【語彙と文法解析】

動詞は carpent でしょう。ent は活用語尾として、capiō(つかむ)から類推して、carpō で辞書引き。
carpent は、第3変化動詞 carpō(摘む)の直説法・能動態・未来の三人称・複数・未来形。「摘むだろう」

tua は所有形容詞 tuus の、二人称・単数・女性。あなたの。

tua は二人称単数の所有形容詞 tuus の中性・複数・対格。pōmaにかかり性数格がpōmaに一致する。「あなたの」
所有形容詞 meus, tuus, suus, noster, vester は各々、性数格で変化するんですね。何かから派生した形容詞の格変化、良く忘れます。(汗)

Number Singular   Plural
Case / Gender Masculine Feminine Neuter Masculine Feminine Neuter
Nominative tuus tua tuum   tuī tuae tua
Genitive tuī tuae tuī tuōrum tuārum tuōrum
Dative tuō tuō tuīs
Accusative tuum tuam tuum tuōs tuās tua
Ablative tuō tuā tuō tuīs
Vocative tue tua tuum tuī tuae tua

[出典]https://en.wiktionary.org/wiki/tuus

pōma は carpō の直接目的語で対格。-a で終わる対格は第2変化 um型か第3変化 us型の中性・複数だったので、とりあえず pōmum で辞書引き。
pōma は第2変化の中性名詞 pōmum(果実)の複数・主格(呼格)または対格。ここでは対格。「果実を」

nepōtēs は文の主語で、名詞の主格。主格が ēs で終わるのはおそらく第3変化で代表選手は homō。nepōt で辞書引きしても該当なし。1字削ってnepō にしてみるとnepōs がヒット。電子辞書は、前方一致でリストしてくれるので助かります。
nepōtēs は、第3変化の共性名詞 nepōs(孫)の複数・主格。「孫たちが」

 

【逐語訳】

 Carpent(摘み取るだろう)tua(あなたの)pōma(果実を)nepōtēs(孫たちが).

 

【訳例】

あなたが栽培した木の果実を孫たちが摘み取るだろう。

 

(古典の鑑賞)

ウェルギリウス『牧歌』第9歌「町へ行く道」の一節でした。今回は前に手に入れた愛蔵書『牧歌・農耕詩』(河津千代訳・未来社)を「これこれ」と本棚から取り出して読んでみました。ラテン語初心者の、至福の時です。(笑)

この課題、1年半前にも取り組んだのですが、今回は、韻律を考えてみました。そういう気持ちになるところが、やはり少しラテン語が身近になってきたんですね〜。

原文は、以下の通り。

Īnsere, Daphni, pirōs: carpent tua pōma nepōtēs."  

Īnsere は第3変化動詞 īnserō(接ぎ木する)の命令法・能動態・現在形の二人称・単数。「あなたが接ぎ木しなさい」

Daphni(Daphnis)は伝説の人名でダプニス。メルクリウスの子で牧歌の創始者とされる。

pirōs は第2変化の女性名詞 pirus(梨の木)の複数・対格。「梨の木を」

<韻律分析>

Īn-se-re,| Daph-ni, pi|rōs: carp|ent tu-a | pō-ma ne|pō-tēs."  

(インセレ|ダプニ ピ|ロース:カル|ペント トゥア|ポーマ ネ|ポーテース)
 長短短  長短短   長長     長短短     長短短   長長

昨年秋には『詩人と皇帝』(河津千代)を読んでみて、詩人(ウェルギリウス)と皇帝(オクタウィアーヌス)の人間関係も何となく分かってきたので、やはりこの詩は、友人であったガルスなどの尽力で土地没収を免れた後で、懐古的に書かれたもので、この詩をもって皇帝に土地没収をやめるよう(勇気を持って)諭したというのとは、ちょっと違うなと思えてきました。

なんて、ひとりで頷いたりしてみるもの、ラテン語学習の楽しみですね。

 

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