ラテン語な日々

〜「しっかり学ぶ初級ラテン語」学習ノート〜

第3回課題(2019.6.29)

練習問題7-2

Est deus in nōbīs.
エスト デウス イン ノービス)

(Ov.A.A.3.549)

出典:「 Ovidius, Ars Amatōlia」(オウィディウス『恋愛術』)

Ovid: Ars Amatoria III

 

【語彙と文法解析】

sum:不定法はesse Ⅰ(存在詞) 1. (a)存在する、ある、居る (b)起こる、生ずる、行われる (c)(+地名(loc)または前置詞)居る、とどまっている、住んでいる、ある、位置している (d)(+様態の副詞)〜の状態である (e)(+inf)〜することができる、してもよい 2.事実である、現状である Ⅱ(繋辞として) 1. 〜である 2.  (a)(+所有の属格[所有形容詞])ある人に属する、〜の所有物である (b)(+性質の属格[奪格])〜を持っている[所有する]、〜がある (c)(+数詞の属格)〜から成り立つ、合計して〜の数[額]になる (d)(+価格・価値の属格[奪格])〜に値する、(費用を)要する、〜の価値がある 3. (+与格)(a) 〜には…がある (b)〜にとって…である
estは、不規則動詞 sum の直説法現在第三人称単数形。

deus: -ī  m:1. 神 2. 地上の主権者、神としてあがめられる者 3.[教]神、創造主、天主
deusは、第2変化名詞 deus の男性・単数・主格

ego:pron pers 1. 私
nōbīsは、人称代名詞 ego の複数・与格(dat)または複数・奪格(abl)

in:prep 【Ⅰ】<+abl> 1.(空間的)〜の中に、〜において、〜に 2.(時間的)〜の間に、〜のうちに、〜に 3.(ある状況・状態など)〜で、〜において、〜のもとで 4.(分類において)〜の中に 5.(限定して)〜に関して、〜の点において【Ⅱ】<+acc> ・・・以下略
in nōbīs は、in + abl(奪格)の形で、「我々の中に」の副詞句と解せる。

 

【逐語訳】

 Est(存在する) deus(神は) in nōbīs(我々の中に).

 

【訳例】

 我々の中には神が存在する。

 

(古典の鑑賞)

オウィディウス『恋愛術』の第3巻。オウィディウスが女性向けに「恋の技法」を説く章の一節でした。「恋愛は戦いの場である」とするオウィディウスは、女性たちに向けても、「よき指揮官は…」と戦争に関する比喩を用いて語りかける。男たちのうち、誰がどのような任にふさわしいかしかと見届け、それぞれに相応しい部署に配置せよ。金持ちには贈り物をさせ、法律に詳しいものには弁護をさせる、云々。そして、詩をつくっているわれわれは…愛することにかけては誰よりもふさわしい者たちである、と説く。

「われわれこそが、心にかなう美貌の女性たちの名を天下に広く称え伝えるのである。(…中略…)われら(詩人)のうちには神がましまして、天上界との交感がある。天上界の高御座から霊感が天下ってくるのだ。」(『恋愛指南』沓掛良彦訳)

オウィディウスは、アウグストゥス時代のウェルギリウスホラーティウスに続く第三の大詩人。時に、オウィディウス40歳。まもなくして、アウグストゥスの娘ユーリアの醜聞に連座し、「恋の技」が不評をかったこともあり、黒海沿岸のトミスに流されたそうです。(「ギリシャ・ローマ古典文学案内」(岩波文庫別冊4)より)

 

 

(文法の学習)

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