ラテン語な日々

〜「しっかり学ぶ初級ラテン語」学習ノート〜

第7回課題(2019.8.17)

練習問題14-3

Carpent tua pōma nepōtēs.
(カルペント トゥア ポーマ ネポーテース)

(Verg.Ecl.9.50)

出典:ウェルギリウス『牧歌』

P. VERGILI MARONIS ECLOGA NONA

 

【語彙と文法解析】

carpō -ere -psi -ptum, tr 1.(果実・花などを)摘む、もぎ取る 2. 引き裂く、ちぎる 3. (動物が牧草などを)食む 4. 進む 5. 享受する、利用する(以下略)
carpent は 第3変化動詞 carpōの直説法・能動態・未来の三人称・複数

tuus -a -um, adj pass 1. あなたの 2. あなたに好意的な(以下略)
tua は 所有形容詞(第1・第2変化形容詞)
ここでは、pōma に合わせて、中性・複数の対格

mum -i, n 1. 果物、果実 2. 果樹
pōma は 第2変化名詞 pōmumの中性・複数の主格(呼格)または対格
ここでは、対格。

nepōs -ōtis, m or f 1. 孫 2. 子孫(以下略)
nepōtēs は 第3変化名詞(子音幹名詞)nepōs の通性・複数の主格(呼格)または対格
ここでは、主格。

 

【逐語訳】

 Carpent(摘む) tua(あなたの) pōma(果実を) nepōtēs(子孫が).

 

【訳例】

あなたの子孫が果実を摘む(享受する)。

 

(古典の鑑賞)

 ウェルギリウス『牧歌』第九歌の一節でした。第一歌とこの第九歌はウェルギリウスと旧知の間であったというオクタヴィアヌス(のちのアウグストゥス)が進めていた土地没収に、自身の土地が含まれていたため、忠告として書かれたというのが通説のようでした。「あなたはカエサルのお陰を蒙っているのでしょう。それと同じようにあなたの子孫が利益を受けることになるのですから、いまのうちに善政(つまり土地没収をやめること)を行いなさい」(河津千代 註)の意で、かなり勇敢な発言と受け取れます。

原文は「Insere, Daphni, piros: carpent tua poma nepotes.」(ダブニスよ、梨に接ぎ木せよ。その実はおまえの子孫が取り入れよう。」(河津千代訳)

『牧歌』はヘクサメトロス(六歩格)を踏襲しているということですが、「長短短・長短短・長長・長長・長短短・長長」のような韻律を踏んでいるということらしい。分からないなりに、そのような韻律で読み下してみると、なるほど美しく感じるから不思議ですね。