ラテン語な日々

〜「しっかり学ぶ初級ラテン語」学習ノート〜

第1回課題(2019.12.7)

練習問題3-4

Aquila nōn captat muscam.
(アクイラ ノーン カプタト ムスカム)

ローマの諺
Erasmus, Adagia Ⅲ ⅱ 65

 

【学習課題】

第2章 名詞と形容詞1
1 第1変化名詞

ラテン語の名詞には「性・数・格」がある。

ラテン語の格:主格(non)、呼格(voc)、属格(gen)、与格(dat)、対格(acc)、奪格(abl)

〇格の働き

主格=主語または述語になる
呼格=呼びかけを表す。「〜よ」
属格=所属・所有を表す。「〜の」
与格=主に間接目的語。「〜に」
対格=主に直接目的語。「〜を」
奪格=副詞的な意味を表す。「〜から」「〜によって」「〜において」

〇第1変化名詞の語尾変化

単数:-a -ae -ae -am -ā
複数:-ae -ãrum -īs -ãs -īs

※第1変化名詞はほぼ女性

 

〇名詞の単数・属格と5つの変化の型

第1変化名詞:単数・属格が -ae で終わる名詞。
第2変化名詞:単数・属格が -ī で終わる名詞。
第3変化名詞:単数・属格が is で終わる名詞。
第4変化名詞:単数・属格が -ūs で終わる名詞。
第5変化名詞:単数・属格が -ēī / -eī で終わる名詞。

 

【語彙と文法解析】

aquila -ae(属格), f(女性) ① 〘鳥〙ワシ(鷲).以下略
aquila は、第1変化名詞 aquila の女性・単数・主格(呼格)

nōn adv ① ...でない
nōn +動詞で、動詞の否定文を表す

captō -āre(不定形), tr(他動詞)① つかもうとする 以下略
captatは、第1変化動詞 captō の直説法・能動態・三人称単数現在形

musca -ae(属格), f(女性)① 〘昆〙ハエ(蠅).以下略
muscam は、第1変化名詞 musca の女性・単数・対格

 

【逐語訳】

 Aquila(鷲は) nōn captat(捕らえない) muscam(蠅を).

 

【訳例】

鷲は蠅を捕らえない。

 

(古典の鑑賞)

古代ギリシャの諺とのこと。エラスムスが「格言集」で取り上げ、現代では英語でも「Eagles don’t catch flies. 」と訳され、一般的に知られているようですが、恥ずかしながら、私は存じませんでした。(汗)

ネットでは、「武士は食わねど高楊枝」と並べて紹介されてもいますが、私は「鷲」というのはもう少し偉大な人物を意味しているように感じます。

「偉大な人物というものは、小事にかまわない(ので、ささいなことで失敗する)」というもの、何となくうなずけますね。

エラスムスの「格言集」は当初818語の格言が収められたが、版を重ねるたびに拡充されて、最終版では4151語の収録となったそうです。エラスムスは中世以降の教会のあり方への批判的立場から、ギリシャ・ローマの古典に深く学び、本来のキリスト教の教えの真髄を表そうとしたのでしょう。

現代の私たちが、ギリシャ・ローマ古典文学を学ぶ意義も、エラスムスの精神と共通するところもありそうです。

エラスムスの「格言集」は図書館で見つかりませんでしたので、「格言選集」を購入して読んでみようと思います。