ラテン語な日々

〜「しっかり学ぶ初級ラテン語」学習ノート〜

第24回課題(2020.5.9)

練習問題24-4

Dēsine fāta deum flectī spērāre precandō.

(デーシネ ファータ デウム フレクティー スペーラーレ プレカンドー)

Verg.Aen.6.376
ウェルギリウスアエネーイス

P. VERGILI MARONIS AENEIDOS LIBER SEXTVS

 

【学習課題】

 動名詞

 

【語彙と文法解析】

dēsinō -ere(不定法)-siī(完了形)-situm(目的分詞), intr(自動詞), tr(他動詞) ① 中止する, やめる 〈(in)re;alcis rei;+inf〉(以下略)
dēsine は 第3変化動詞 dēsinō の命令法で、二人称・単数・現在。

fātum -ī, n ① 神託, 予言.② 神意, 天命.③ 天寿を全うすること, 自然死
④ 運命, 宿命.(以下略)
fāta は 第2変化名詞 fātum の中性・複数・主格または対格。ここでは対格。

deus -ī, m ① 神 (以下略)
deum は 第2変化名詞 deus の男性・単数・対格または複数・属格。

flectō -ere(不定法)flexī(完了形)flexum(目的分詞), tr(他動詞), intr(自動詞) Ⅰ (tr)① 曲げる.② 変える 〈alqm [alqd]〉.(中略) Ⅱ (intr)向かう, 行く, 進む 〈in [ad] alqd〉.
flectī は第3変化動詞 flectō の不定法・受動態で、現在形。

spērō -āre(不定法)-āvī(完了形)-ātum(目的分詞), tr(他動詞)(intr 自動詞) ① 希望する, 期待する 〈abs;alqd;+acc c.inf;ut+subj〉.(以下略)
spērāre は第1変化動詞 spērō の不定法・能動態・現在または命令法・受動態の二人称・単数・現在。ここでは不定法。

precor -ārī(不定法)-ātus sum(完了形), tr, intr dep(形式受動相動詞) ① 祈る, 懇願する 〈alqm [alqd];alqm alqd;alqd ab alqo;ut, ne;+acc c. inf〉.② (よかれ[悪しかれ]と)願う
precandō は第1変化動詞 precor の動名詞 precandum(←現在分詞 precāns)の与格または奪格。ここでは奪格(手段の奪格)。

 

【逐語訳】

Dēsine(やめなさい)fāta(運命を)deum(神々の) flectī(変えられると)spērāre(期待すること)precandō(祈ることによって).

 

【訳例】

神々の運命を祈ることによって変えられると期待することはやめなさい。

 

(古典の鑑賞)

ウェルギリウスアエネーイス」第6歌の一節でした。今回も西洋古典叢書アエネーイス』(岡道男・高橋宏幸訳、京都大学学術出版会)を図書館で借りてきて読んでみました。

前回に続いて、今回は第6歌。少し前の課題で、「スキーピオーの夢」を読んでみたとき、山下先生から「祖父大スキーピオーが(夢の中で)孫の小スキーピオーの「未来」を予言している」箇所について、これが後の「アエネーイス」第6歌後半で描かれる父アンキーセースとアエネーアースの対話を用意しているかのようで興味深い、と教えていただきました。

なるほど、過去のある時点から現在にいたる歴史を「ふり返る」というのは、考えたことがなかったのですが、これは不可能なんですね。何故なら、単に、過去においては、現在にいたる歴史は、まだ未来ですから。

そこで、ハッと気が付きました。そうか。もし神であれ、タイムマシンであれ、因果律を乗り越えても許容される、何某かの舞台装置があれば、過去のある時点から、未来である(その内容は書き手と読者には既知の)歴史を予言してみせることが可能になる、つまり違和感なく許容させることも出来るわけですね。

アエネーイス」第6歌後半においては、亡き父アンキーセスが、ローマ建国をその身の定めとするアエネーアースに、未来のローマの歴史を築く英雄たち(アルバの王、ロームルス、ブルートゥス、スキーピオー、カエサルアウグストゥス等々)の魂を紹介し、英雄がその壮大な事業への確信を得るという劇的なシーンを、違和感なく描き出してみせます。

課題文の方は、第6歌の前半。亡き父に再会し、未来の開示を受けるため、巫女の導きによって、生きたまま冥界に下ったアエネーアースは、冥界を彷徨う幾多の霊魂と出会うのですが、その一人、パリヌールスは、カルターゴに漂着する前、波にのまれた操舵手。冥界に横たわる川には、渡し守がいて、死後、礼をつくして埋葬されたものだけが、波に運ばれ救われるという掟らしく、川を渡れず彷徨っています。

パリヌールスは、アエネーアースに救いを求めますが、巫女は埋葬されるまでは岸に近づけないのが「神々の定めた運命」であり、変えることはできないと告げ、今回の課題文となりました。

その後、自決した女王ディードーとも再会しますが、言い訳するアエネーアースの言葉に、無言で目も合わず、救いがないのですが、死別した夫シュカエウスと共に去りゆく姿を、涙ながらに見送った、として(割とあっさりと)過去の呪縛を解き放ち、未来の開示へと向かいます。

 

第23回課題(2020.5.2)

練習問題23-2

Quis fallere possit amantem?
(クイス ファッレーレ ポッシト アマンテム)

Verg.Aen.4.296
ウェルギリウスアエネーイス

Aeneid IV

 

【学習課題】

 分詞(現在分詞・完了分詞・目的分詞・未来分詞)

 

【語彙と文法解析】

quis quis quid, pron(代名詞)Ⅰ (interrog 疑問詞)① だれ, 何, どれ.(以下略)
quis は疑問代名詞 quis の通性・単数・主格

fallō -ere(不定法)fefellī(完了形)falsum(目的分詞), tr(他動詞) ① 迷わせる, 誤らせる ② 欺く, だます 〈alqm〉.③ (期待を)裏切る, 失望させる(以下略)
fallere は 第3変化動詞 fallō の一人称・単数・不定法。

possum posse不定法)potuī(完了形), intr(自動詞)(tr 他動詞) ① (...することが)できる 〈+inf〉.② 可能性がある.(以下略)
possit は 不規則動詞 possum の接続法・能動態で、三人称・単数・現在。

amans -antis(属格), adj(prp 現在分詞)① (人が)愛している, 愛情深い 〈+gen〉(以下略)
amantem は amōの現在分詞 第3変化形容詞(one-termination)amans の通性・単数・対格。
 

【逐語訳】

Quis(誰が〜だろうか)fallere(欺く)possit(できる)amantem(愛するものを)?

 

【訳例】

誰が愛するものを欺くことができるだろうか?

 

(古典の鑑賞)

ウェルギリウスアエネーイス」第4歌の一節でした。今回も西洋古典叢書アエネーイス』(岡道男・高橋宏幸訳、京都大学学術出版会)を図書館で借りてきて読んでみました。

アエネーイス」からの課題は今回が3回目。過去2回は後半のいわゆる戦記。前半を読んでみたのは初めてです。1歌から3歌までが拾い読みなので、受け売りですが、難破同然でカルターゴに漂着したアエネーアースは、母である女神ウェヌストロイアの再興を阻止したい女神ユノーの言わば呉越同舟による介入で、女王ディドーに強く愛され、一旦は、建設途上のカルターゴをともに治めていくことになります。

しかし英雄アエネーアースは、イタリアの地にトロイア人の新たな王国を建設する「定め」を背負っている身。最高神ユピテルは、何時にも増して強い言葉でアエネーアースを諭し、警告を与えます。

これに驚愕し、戦慄を覚えたアエネーアースは、ディドーを裏切ることへの後ろめたさを感じつつ、密かに艦隊を整え、カルターゴを離れようと準備を進めるのですが、すぐに女王は策略に気づきます。

「誰も恋するものを欺けない」(岡・高橋訳)とは、女王ディドーがアエネーアースの裏切りに気づいた瞬間なのですね。ここで、恋するものは女王。欺くのはアエネーアース。最初は「愛する相手を欺くようなことはできない」という意味かと思いましたが、違うようです。

一度は、アエネーアースに翻心を嘆願するディドーですが、アエネーアースの不誠実ともいえる態度に絶望し、嘆願は軽蔑と憎悪となり、「まだ見ぬ者よ、わが骨より出て復習者となれ。」と、ローマ史上最強の敵、カルタゴの将軍ハンニバルの出現を予言しつつ、アエネーアースの贈った剣で自決します。

幾重にも、幾重にも伏線が張られ、ローマの繁栄と苦難の歴史を、神々の意志ではあるものの、決して決定論ではなく、読む者に手に汗握らせながら描き出してみせる、文字通りの一大叙事詩です。

 

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アエネーアースの行程(Rcsprinter123 / CC BY

 

 

第21回課題(2020.4.18)

練習問題21-5

Cum autem Carthāginem dēlēveris, triumphum ēgeris censorque fueris et obieris lēgātus Aegyptum, Syriam, Asiam, Graeciam, dēligēre iterum consul absens bellumque maximum conficiēs, Numantiam exscindēs.

(クム アウテム カルタギネム デーレーウェリス、トゥリウムプム エーゲリス ケンソルクエ フエリス エト オビエリス レーガートゥス アエギュプトゥム、シリアム、アシアム、グラエキアム、デーリゲーレ イテルム コンスル アブセンス ベルムクエ マクシムム コンフィキエース、ヌマンティアム エクスキンデース)

Cic.Rep.6.11
キケロー「国家について」

Cicero: de Re Publica VI

 

【学習課題】

 動詞3 直接法・能動態・未来完了

 

【語彙と文法解析】

cum 接続詞 ① (真に時を示す)...の時に

autem 接続詞 ① しかし, これに反して, 他方では.② さらに, そのうえ.③ (三段論法で小前提を導いて)ところで, さて(=atqui).

Carthāgō -ginis, f カルターゴー《 (1) アフリカ北岸にあった Phoenicia 人の植民市;ローマに滅ぼされた(前146).
Carthāginemは第3変化名詞 Carthāgō の女性・単数・対格。

dēleō -ēre(不定法)-ēvī(完了形)-ētum(目的分詞), tr(他動詞)① 消し去る, ぬぐい去る.② 全滅させる, 抹殺する, 破壊する.(以下略)
dēlēveris は 第2変化動詞 dēleō の直説法・能動態で二人称・単数・未来完了。あなたが破壊する。

triumphus -ī, m ① 凱旋式, 凱旋行進 〈+gen;ex [de]+abl〉(以下略)
triumphum は第2変化名詞 triumphus の男性・単数・対格。

agō -ere(不定法)ēgī(完了形)actum(目的分詞), tr(他動詞), intr(自動詞)
Ⅰ (tr)① 進める, 導く, 駆りたてる, 追いやる(中略)⑬ (式・祭を)挙行する, 催す
Ⅱ (intr)① 行動する, ふるまう.(以下略)
ēgeris は第3変化動詞 agō の直説法・能動態で、二人称・単数・未来完了。

censor -ōris, m ① 監察官《ローマにおいて戸口調査・風紀取締まりなどをつかさどった;5年ごとに2名選出された》.② 厳格な批評家.
censorque は第3変化名詞 censorの男性・単数・主格(呼格)に前接詞-que(〜と〜、また、そして)がついた形で、ここでは主格。

sum esse fuī, intr Ⅰ (存在詞)① ⒜ 存在する, ある, 居る(中略)Ⅱ (繋辞として)① ...である(以下略)
fueris は不規則動詞 sum の直説法・能動態で、二人称・単数・未来完了。

et 接続詞、副詞 Ⅰ (conj)① ...と[そして]... ② (補足的に)そして[さらに]...も ③ そしてまったく, しかも ④ (物語で)そしてそれから (中略) Ⅱ (adv)① ...もまた, 同様に (以下略)

obeō -īre(不定法)-iī(完了形)-itum(目的分詞), tr(他動詞), intr(自動詞) Ⅰ (tr)① 顔を合わせる, 会う.② 巡回する, 訪問する.(中略) Ⅱ (intr)① 向かって行く.(以下略)
obieris は不規則動詞 obeō の直説法・能動態で、二人称・単数・未来完了。

lēgātus -ī, m ① 使節.② (将軍・総督の)副官, 代官.③ (帝政期の)属州総督.
lēgātus は第2変化名詞 lēgātusの男性・単数・主格(述語としての主格)。

Aegyptus -ī, m, f ① (m)〘伝説〙アエギュプトゥス, *アイギュプトス《Belus の息子で Danaus の兄弟;伝説上のエジプト王;その50人の息子は Danaus の50人の娘と結婚した》.② (f)エジプト《しばしばアジアの一部と考えられた》.
Aegyptum は第2変化名詞 Aegyptus の女性・単数(のみ)・対格。

Syria -ae, f シュリア, ∥シリア《小アジアの一地方;通常 Phoenicia と Palaestina を含む》.
Syriam は第1変化名詞 Syria の女性・単数(のみ)・対格。

Asia -ae, f ① アシア, ∥アジア《 (1) 本来は Lydia の町;のちにその周辺地域.(2) 小アジア;特に (a) Pergamum 王国.(b) Troja 王国.(3) Pergamum 王国を遺贈されたローマの属州としてのアシア;当初は Mysia, Lydia, Caria, Phrygia から成った.(4) アジア大陸》.
Asiam は第1変化名詞 Asia の女性・単数(のみ)・対格。

Graecia -ae, f グラエキア, ∥ギリシア Magna ~ (CIC)∥マグナ・グラエキア《ギリシア人が多数の植民市を建設したイタリア南部地方》.
Graeciam は第1変化名詞 Graecia の女性・単数(のみ)・対格。

dēligō -ere(不定法)-lēgī(完了形)-lectum(目的分詞), tr(他動詞) ① 選ぶ, 選択する.(以下略)
dēligēre は第3変化動詞 dēligō の直説法・受動態で、二人称・単数・未来。

iterum 副詞 ① 再び, もう一度 (以下略)

consul -sulis, m 執政官《共和制期ローマの最高官職;毎年2名を選出》
consul は第3変化名詞 consul の男性・単数・主格(呼格)。ここでは主格で、dēligēre の間接目的語。

absens -entis, adj 形容詞(prp 現在分詞)① 不在の.(以下略)
absens は 不規則動詞 absum(離れている;不在である)から派生した現在分詞 absens(第3変化で見出しが1種類のタイプ)の通性中性・単数・主格(呼格)または中性・単数・対格。

bellum -ī, n ① 戦争 ② 戦闘, 会戦.③ 争い, 闘争.(以下略)
bellumque は 第2変化名詞 bellumの中性・単数・主格(呼格)または対格に、前接詞-que(〜と〜、また、そして)がついた形で、ここでは対格。

maximus -a -um, adj(形容詞)superl(最上級の)① 最大の.(以下略)

conficiō -cere(不定法)-fēcī(完了形)-fectum(目的分詞), tr(他動詞) ① 遂行する, 果たす(中略) ⑤ なし遂げる, 成就する.(中略) ⑧ 片づける, 完了する(以下略)
conficiēs は 第3変化動詞B conficiō の直説法・能動態で、二人称・単数・未来。

Numantia -ae, f ヌマンティア《Hispania Tarraconensis の町;小 Scipio に攻略された(前133)》.
Numantiam は第1変化名詞 Numantia の女性・単数(のみ)・対格。

exscindō -ere(不定法)-scidī(完了形)-scissum(目的分詞), tr(他動詞) 破壊する;滅ぼす.
exscindēs は第3変化動詞 exscindō の二人称・単数・未来。

 

【逐語訳】

Cum(〜の時)autem(さらに)Carthāginem(カルターゴーを)dēlēveris(あなたが破壊し), triumphum(凱旋式を)ēgeris(挙行し)censorque(また監察官と)fueris(なり)et(そして)obieris(〜を訪問する)lēgātus(使節として)Aegyptum(エジプト), Syriam(シリア), Asiam(アジア), Graeciam(ギリシャ), dēligēre(選出される)iterum(再び)consul(執政官に)absens(不在の状態で)bellumque(戦争にも)maximum(最大の)conficiēs(終結させ), Numantiam(ヌマンティアを)exscindēs(滅ぼすだろう).

 

【訳例】

さらにあなたはカルターゴーを破壊し、凱旋式を挙げ、また監察官となり、そしてエジプト、シリア、小アジアギリシャ使節として訪問する時、(あなたは)不在のまま再び執政官に選出され、最大の戦争を終結させ、ヌマンティアを滅ぼすだろう。

 

(古典の鑑賞)

キケロー「国家について」第6巻・スキーピオーの夢 の一節でした。今回も『キケロー選集8』(岡道男訳・岩波書店)を図書館で借りてきて読んでみました。

今回は25ワード。今までの課題の中では長文だったので、辞書を引くだけで、教科書もひっくり返したりしつつ、のべ6時間くらいかかったと思います。月末の夏期特別購読会、セネカ「人生の短さについて」第1節のボリュームが気になったので、調べてみると186ワード。私のペースだと、だいたい45時間かかる見当ですね〜。ちょっと、気合いが入りました。

さて、今回の課題文のくだり、英雄スキーピオーの半生を実に25ワードで読者に想起させるあたりが、名文家キケローの面目躍如というところでしょうか。

「スキーピオーの夢」が149年。その2年後、執政官となり、146年カルターゴーを破壊。142年に監察官。134年には立候補していなかったにもかかわらず再び執政官に選出され、翌年ヌマンティアを滅ぼします。そして、134年は、グラックス兄弟の兄ティベリウス護民官に就任した年でもあります。

129年、スキーピオーは急死するのですが、キケローが「国家について」の対話の舞台として設定したのが、まさにその年。解説によれば、当時、ローマはグラックス兄弟を中心とする改革派と、これに対抗する保守派によって国民が二分され、国政が混乱のきわみに陥った時期で、キケローは、積年の内紛によって引き裂かれたローマの再建と国民の再統一(すなわちローマ共和制の再興)を図るために、本書を著し、国家の意義と国民の使命を説いた、ということでした。

今回は、歴史を少し勉強してみたのですが、小スキーピオーは問題のグラックス兄弟の改革に反対だったようで、門閥派(名門貴族を中心とする大土地所有者)と形容する記述も見うけられました。キケロー自身も、課題文の文脈の流れで、大スキーピオーに「私の孫の策謀によって国家が混乱に陥っているのを見出すだろう」と語らせています。
※「私の孫」はグラックス兄弟のことです。

この辺りが、面白いところだと思うのですが、王政、貴族政を否定し、民主政を理想とするキケローも、民主政を実現するローマ共和制=現体制を(本質的な意味で)擁護するあまり、現実の政治的課題については、合理的判断によらず、守旧的に振る舞うような面もあったのでしょうね。

 

第20回課題(2020.4.11)

練習問題20-3

Virtūs est vitium fugere et sapientia prīma stultitiā caruisse.
(ウィルトゥース・エスト・ウィティウム・フゲレ・エト・サピエンティア・プリーマ・ストゥルティティアー・カルイッセ)

Hor.Ep.1.1.41
ホラーティウス「書簡詩」

Horace: Epistulae I

 

【学習課題】

 動詞3 直接法・能動態・完了

 

【語彙と文法解析】

virtūs -ūtis, f ① 男らしさ, 雄々しさ.② 勇気, 果断;(pl)英雄的行為.③ 美徳, 高潔;卓越.④ (V-)(神格化されて)美徳の女神.(以下略)
Virtūs は第3変化名詞virtūsの女性・単数・主格(呼格)。ここでは主格。

sum esse fuī , intr Ⅰ (存在詞)① ⒜ 存在する, ある, 居る(中略) Ⅱ (繋辞として)① ...である (以下略)
est は不規則動詞sumの直説法・能動態・三人称・単数・現在。

vitium -ī, n ① 欠点, 欠陥 ② 過誤, 過失 ③ 悪徳, 不品行 (以下略)
vitium は第2変化名詞vitiumの中性・単数・主格(呼格)または対格。ここではfugereの補語で、対格。

fugiō -gere fūgī(fut p fugitūrus), intr, tr  Ⅰ (intr)① 逃げる, 逃走する, 走り去る(中略) Ⅱ (tr)① (...から)逃げる, のがれる.② 避ける, 遠ざける (以下略)
fugere は第3変化動詞B fugiō の不定法・一人称・単数。〜を避けること。

et conj, adv Ⅰ (conj)① ...と[そして]... ② (補足的に)そして[さらに]...も(以下略)

sapientia -ae, f ① 知恵, 分別.② 英知
sapientia は第1変化名詞sapientiaの女性・単数・主格(呼格)。ここでは主格。知恵は。

prīmus -a -um, adj superl ① 先頭の, 最前部の, 先端の.② 第一の ③ 最初の, 初めの, 冒頭の, 発端の ④ 主要な, 最も顕著な, 卓越した, 一流の.
prīma は第1・第2変化形容詞prīmusの女性・単数・主格(呼格)または中性・複数・主格(呼格)か対格。ここでは、sapientiaにかかり女性・単数・主格。最初の。

stultitia -ae, f ① 愚かしさ, 愚鈍.② ばかげたこと;愚行.
stultitiā は第1変化名詞stultitiaの女性・単数・奪格で、caruisseの補語。

careō -ēre -ruī -ritum, intr〈+abl〉① ...がない, 欠けている ② 遠ざける, 控える, なしですます ③ (危険・苦悩などを)免れる, 逃れる.
caruisse は第2変化動詞careōの不定法・能動態・完了・二人称・単数。〜がないこと。

 

【逐語訳】

Virtūs(美徳は) est(〜である) vitium(悪徳を) fugere(避けること) et(そして) sapientia(知恵は) prīma(最初の) stultitiā(愚かしさ) caruisse(<奪格>がないこと).

 

【訳例】

美徳とは悪徳を避けることであり、そして最初の知恵は愚かしさがないことである。

 

(古典の鑑賞)

ホラーティウス「書簡詩」第1巻第1歌の一節でした。今回も『書簡詩』(高橋宏幸訳・講談社学術文庫)を図書館で借りてきて読んでみました。

韻文による書簡はギリシャ文学には先例がないとのことで、ヘクサメトロスによる書簡詩はホラーティウスの独創らしい。(「ラテン文学を学ぶ人のために」)

最近、韻律に少し関心が出てきたので、どれどれ、とちょっと考えてみよう。「長短短・長短短・長長・長短短・長短短・長長」とかになればいいんですよね。

原文の改行は「The Latin Library」では prīma の後に来ていましたが、上手くいかないので、stultitiā で改行するとして、1行目は8単語、6韻脚。これでヘクサメトロスになってる! と思ったら、最初が「長長短」になってる。しかも、次行は「短長短」で始まってる? あれ〜、やっぱり難しそう。

Vir-tūs est | ui-ti-um | fu-ge-re et | sa-pi-en-tia | prī-ma stul | -ti-ti-ā
長 長 短    長 短 短   長 長           長 短 短          長 短 短       長 長 
ca-ruis-se. (以下略)
短 長 短

 ※後日追記
 討ち死にしました(笑)。山下先生に校正していただきました。

Virtūs | est uiti | um fuge r(e( et sapi | entia | prīma
stultiti | ā caru | isse

上のように二行に分かれます。

 ※ここまで

ともあれ、平易でバランス感覚に優れたホラーティウスの人生訓や哲学の勧めも、抒情詩人としての自信を隠さないホラーティウスらしく、実は技巧を凝らした、意欲的な創作ということなのだと思います。

ところで、「諷刺詩」からの課題に取り組んでみようかなと思い、ちょうど手元に『ホラティウス全集』(鈴木一郎訳・玉川大学出版部)もあるので、訳を比べてみました。

「美徳の第一歩は悪徳からの脱却、知恵の第一歩は愚昧の排除です。」(高橋訳)

「悪の世界から遠ざかり、愚行を避ければ、それだけで先ず哲学の始まりです。」(鈴木訳)

高橋訳では、「美徳の<第一歩は>」の代名詞が省略されているという解釈でしょう。原文に忠実な翻訳ですね。鈴木訳の「哲学の始まり」は、多少意訳と言えるかも知れません。

他の訳を参照すると、自分のラテン語の語彙と文法解析の勘違いに気づけるかも知れないし、他の訳者のご苦労によって、文脈を追うことも出来るので、大変参考になりますね。何事につけですが、先人に感謝、です。

 

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第12回課題(2020.2.23)

練習問題13-3

Hīc hasta Aenēae stābat.
(ヒイーク ハスタ アエネーアェ スターバト)

Verg.Aen.12.772

ウェルギリウスアエネーイス

P. VERGILI MARONIS AENEIDOS LIBER DVODECIMVS

 

【学習課題】

動詞2 直説法・能動態・未完了過去

 

【語彙と文法解析】

hīc adv ① (空間的)ここに, この場所に.② (時間的)この時に, それですぐに.③ この機会[場合]に, この状況で.

hasta -ae, f ① 槍, 投げ槍.(以下略)
hasta は第1変化名詞hastaの女性・単数・主格(呼格)。ここでは主格で、文の主語。

Aenēās -ae, m〘伝説〙アエネーアース
Aenēae は固有名詞Aenēāsの男性・単数(のみ)・属格または与格。ここでは属格。アエネーアスの。

stō -āre stetī statum, intr ① 立つ, 立っている.
stābat は第1変化動詞stōの直説法・能動態・三人称・単数・未完了。立っていた。

 

【逐語訳】

 Hīc(ここに) hasta(槍が) Aenēae(アエネーアースの) stābat(立っていた).

 

【訳例】

ここにアエネーアースの槍が突き刺さっていた。

 

(古典の鑑賞)

ウェルギリウスアエネーイス」第12巻の一節でした。今回も『アエネーイス』(岡道男・高橋宏幸訳/京都大学出版会)を図書館で借りてきて読んでみました。

課題には「Verg.Aen.12.772」とあります。これはウェルギリウスアエネーイス」第12巻の772行目にある、という意味です。翻訳には、必ず原作の行数が付されていますから、すぐに該当箇所は見つかります。

「この切り株にアエネーアスの槍が立っていた」(岡・高橋訳)。なるほど。「切り株」とは、古代ローマの牧人と家畜の神ファウヌスの神木の切り株、ということで、月桂樹の木のようです。その神聖な木をトロイア人が戦闘のために切り払っていた、まさにここに、アエネーアースの槍が立っていた、というくだりです。

足を負傷したアエネーアースは、トゥルヌスを走っては捕まえられないので、その槍を引き抜いて、仕留めようとするのですが、ファウヌスの怒りに触れたのか、これがなかなか抜けない、というなかなかハラハラドキドキの場面なわけですが、ところでこの「アエネーアスの槍」って何だっけ、と引っかかってしまい、少し前の文脈を辿ってみてもわからない。

何せ、ここは12歌も772行目まできているので、話の流れを追うには、やはり散文形式の訳の方がとっつきやすいかも、と思いまして、とうとう『アエネーイス』(杉本正俊訳・新評論)を買ってしまいました。

春には、山下先生の「アエネーイス」特別購読会を受講した際に『アエネーイス』(泉井久之助訳・岩波文庫)も買ってみたのですが、韻文形式の訳は、雰囲気はでるものの通読するには骨が折れます。

で、結局、「アエネーアスの槍」とは、二人の勇士が決戦の開始の合図に投げあった槍で、アエネーアースが投げたその槍のことでした。
見つけてしまえば、何のことはない、711行目。案外、近くに書かれていたのでした。(汗)
第12巻は、アエネーアースとトゥルヌスの決戦が主題。まさにそれを象徴する槍というわけですね。

今、「アエネーイス」の3訳が手元にありますが、ラテン語学習としては、やはり岡・高橋訳が一番参考になるでしょう。韻文の雰囲気を味わうには、泉井訳を。あらすじを追うには杉本訳と、使い分けると良いですね。(杉本訳は、現代訳で読みやすいですが、少々格調に欠けるところもあるかな)

 

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第17回課題(2020.3.21)

練習問題17-4

Quis custōdiet ipsōs custōdēs?
(クゥイス クストーディエト イプソース クストーデース)

Juv.6.347-348

ユウェナーリス「風刺詩」

Juvenal VI

 

【学習課題】

 代名詞1 指示代名詞・強意代名詞・疑問代名詞

 

【語彙と文法解析】

quis quis quid, pron(adj)Ⅰ (interrog:疑問の)① だれ, 何, どれ.(以下略)
quis は疑問代名詞 quisの男性または女性・単数・主格。ここでは男性で、文の主語。

custōdiō -īre -īvī [-iī] -ītum, tr ① 見張る, 監視する 〈alqd ab alqo〉.(以下略)
custōdiet は第4変化動詞 custōdiōの直接法・能動態・未来、三人称単数。

ipse -a -um , pron intens(強意の)① 自ら, 自身 ② ちょうど, まさに(以下略)
ipsōs は強意代名詞 ipseで、custōdēsに合わせて、男性・複数・対格。〜自身を。

custōs -ōdis, m(f)① 見張人, 監視人.② 保護者.③ 番兵, 歩哨.④ 密偵, スパイ.⑤ 看守.
custōdēs は第3変化名詞 custōsの男性・複数・主格(呼格)または対格。ここでは対格。見張人を。

【逐語訳】

 Quis(誰が〜のか) custōdiet(見張る) ipsōs custōdēs(見張人自身を)?

 

【訳例】

 誰が見張人自身を見張るのだろうか?

 

(古典の鑑賞)

ユウェナーリス「諷刺詩」第6章の一節でした。「諷刺詩」は2回目。今回も『ローマ諷刺詩集』(国原吉之助訳、岩波文庫)を図書館で借りてきて読んでみました。

前回の課題文だった、ユウェナーリスのことば「Facit indignātiō versum.−義憤が詩を作る」は、私の人生を少し変えたかも知れません。

どちらかといえば「お行儀の良い」私にとって、世の無常、権力の腐敗、道徳の退廃を指弾するにしても、ここまで激しい言葉が、果たして必要かと、正直思うわけですが、まさに、「人間の悪や欠点に毒舌をふるうため、ギリシャの古喜劇の精神に倣って作られた誹謗詩」それこそが、ローマ詩人が生み出した「Saturae−諷刺詩」の世界なのです。

解説で引用された、シラーの「いつでも生き生きと理想の満ちわたった心から流れ出てくる激情的諷刺」ということばを重ねて、作品に接すると、「中庸」という日本人好みの言葉が薄汚れてさえみえるほど。「本当にこれでいいのか!」という指弾の舌鋒は、あくまで「健全な精神」に突き動かされた、至高の声なのですね。

「諷刺詩」第6章は、以前、課題文に取り組んだ、オウィディウス『恋の歌』「第3巻「四、見張りは無用」の裏返しの様な文脈で、妻を束縛するのは、「都会的じゃないよ」と歌ったオウィディウスに対して、ユウェナーリスは、見張りをたてても「その見張り番を誰が監視するのか」と歌ったのが、今回の課題文のくだりです。

まあ、それはそれで、なかなか人生の機微を感じ、また帝政ローマの世情にふれる興味深さもあるのですが、西洋では、このフレーズは一般に、国家権力をどのように説明することができるかについて、哲学的な検討を要求する際の、ある種の「決まり文句」として使用されるようです。

2013年の国連人権理事会では、「人々は常に指導者の憲法的行動を監視し、彼らの義務に違反して行動する場合は彼らを弾劾しなければならない」としてユウェナーリスの言葉「その見張り番を誰が監視するのか」は「民主主義の中心的な関心事であることに変わりはありません」との報告がなされた、とのこと(wikipedia)。

最近では中国の香港への統制強化に対する香港理工大の学生がキャパス正門近くの壁に「Quis Custodiet ipsos custodes?」とスプレーでメッセージを掲げ(註1)、先日の米国ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイドさんが警察官に拘束されて死亡した事件に対する抗議行動の中でも、ワシントンのビルの壁面にこの「警句」が出現しました(註2)。

誠に「義憤が詩を作る」、この詩人の精神が現代に甦ったような、至高のメッセージですね。

 

※註1

mainichi.jp

※註2

Qcicdc

Quis custodiet ipsos custodes? - Wikipedia

 

 

『スキーピオーの夢』「20分の1」の謎

自習

cūius quidem annī nōndum vīcēsimam partem scītō esse conversam.

Cic.Rep.6.24.
キケロー「国家について〜スキーピオーの夢」

Cicero: de Re Publica VI

 

【語彙と文法解析】

quī quae quod, pron, adj Ⅰ (adj interrog)① どの, 何の, どのような(中略)
Ⅱ (pron relat)Ⓐ (+ind 直接法)① (事実関係)...するところの(人・もの)
(以下略)
cūiusは関係代名詞 quīの中性・単数・属格で、caelum(天)の単数・属格 caelīをさし、annīのかかる。その(天の)。

quidem adv 確かに, 全く

annus -ī, m ① 年 (以下略)
annīは第2変化名詞 annusの男性・単数・属格または複数・主格(呼格)。ここでは単数・属格。年の。

nōndum adv まだ...ない.

vīcēsimus, vīcens- -a -um, num ord ① 第20の, 20番目の.② 20分の1の.
vīcēsimamは第1・第2変化形容詞 vīcēsimusの女性・単数・対格で、partemにかかる。

pars partis, f ① 部分, 一部 ② 約数 
tertia ~ (VITR)∥3分の1、dimidia ~ (PLAUT)∥2分の1、半分(pl;基数詞を伴って)、partes duae (LIV)∥3分の2、tres partes (CAES)∥4分の3.
vīcēsimam partemで「20分の1」を表す。

sciō -īre -īvī [-iī] -ītum, tr(intr)① 知っている 〈+acc;de re;+acc c.inf〉.② 精通している, 心得ている 〈alqd;+inf (以下略)
scītōは第4変化動詞 sciōの命令法・能動態・未来、2人称または3人称・単数。ここでは2人称・単数。

esseは不規則動詞 sumの不定法・現在。

convertō -ere -vertī -versum, tr, intr Ⅰ (tr)① 回転させる, 回す.(以下略)
conversamは第3変化動詞 convertōの完了分詞。女性・単数・対格。esse conversamで、convertōの不定法・受動態・完了をつくる。回転したこと。

 

【逐語訳】

cūius(その) quidem(確かに) annī(年の) nōndum(まだ〜ない) vīcēsimam partem(20分の1) scītō(あなたは知りなさい) esse conversam(回転したこと).

 

【訳例】

確かに、まだその年の20分の1も回転していないことをお前は知っておきなさい。

 

(古典の鑑賞)

先日、課題で取り組んだキケロー「国家について」第6章「スキーピオーの夢」の一節から。前回、学習した際に、どうも気になったので、今回は岡訳の訳註にあった「ティマイオス」(『プラトン全集12』種山恭子訳、岩波書店)を図書館で借りてきて読んでみました。

岡訳は返却してしまって手元にないのですが、確か、この一節についていた註には、ロームルスの死(B.C.716)からスキーピオーの夢(B.C.149)までが567年なので、天の「一年」はその20倍、12000年くらいか?と書かれてあったように記憶しています。

で、この一節の前の段落が、「一めぐりの年」についての記述で、ここに「ティマイオス」(39c-d)参照の註がついていました。すべての星が元の位置に戻る、ということで、ああこれは「一めぐりの年」は歳差年のことなんだなと思いつつ、「ティマイオス」にその考え方が書かれているのだろうと、読んでみたわけです。

しかし、何事も、原典に一応はあたってみるもの。上記「ティマイオス」(39c-d)のくだりは、地球、月、太陽、水星、金星、火星、木星土星の「八つの循環運動の相対的な速さ(周期)が同時にその行程を完了して大団円に到達する時、時間の完全数が完全年を満たすのだ」云々と、一見「手のつけようもないほど」複雑な惑星の天球上の運動(彷徨)にも、何らかの神秘的な原理が隠されている、という主張でした。

確かに、ヒッパルコス春分点の移動から、歳差運動を発見したのが、B.C.146〜127らしいので(Wikipedia)、プラトンは歳差運動は知らなかった、ということか。

いやまてよ、「vertens annus=ひとめぐりの年」は「すべての星がいったん出発した元の地点に戻って、天全体に同じ配置が再現されるまでの36000年の周期」(羅和辞典、研究社)ということでした。

キケローは「一めぐりの年」を36000年とは言っていません。一方で、その「一年」は12000年くらいだと、間接的に言っています。

36000年は、ヒッパルコスが観測から推定した歳差年。キケローがヒッパルコスの書を読んでいたかは、わかりませんが、偉大なキケローが36000年と12000年を取り違えるわけがない。

ですので、ここは、キケローはプラトンの学説にしたがって、論をすすめていると考えた方が良いでしょう。気になるのは、先にふれた、ロームルスの死(B.C.716)からの567年が、その「一年」の20分の1に満たない、という記述です。

ティマイオス」の39.dの註によると、「時間の完全数が完全年を満たす」というのは、八つの周期の最小公倍数が完全年の長さであることを意味する、とのこと。プラトンの弟子エウドクソスは、惑星の公転周期を、水星1年、金星1年、火星2年、木星12年、土星30年と与えていたらしいので、最小公倍数は、60。

ここでひとつおまじない。216×60年=12960年。その20分の1は648年で、12960年がその「1年」とすると、割と文意が通ります。「216」の数字は、ピタゴラス学派以来宇宙の要素を表す数として尊重された3の3乗、4の3乗、5の3乗の和となる数字。ちなみに216×60000=12960000はプラトン数。これを360で割ると、36000で、こちらはプラトン年というらしい。あれ? ヒッパルコスの歳差年と同じだ。なんだ、羅和辞典は、プラトン年をとっているのか。

何か、夢の中で化かされたような。『スキーピオーの夢』「20分の1」の謎、でした。

 

 

<2023年3月に追加の記事を書きました>

 

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