ラテン語な日々

〜「しっかり学ぶ初級ラテン語」学習ノート〜

第4回課題(2019.12.28)

練習問題6-3

Fugit hōra.

Pers.5.153

ペルシウス「風刺詩集」(Saturae)

Persius

 

【学習課題】

第3章 動詞1
1 直接法・能動態・現在

   

【語彙と文法解析】
fugiō -gere(不定法) fūgī(能動態・完了), intr(自動詞), tr(他動詞)
Ⅰ (intr)① 逃げる, 逃走する, 走り去る.② 追放される, 亡命する.③ 消える, 過ぎ去る.
Ⅱ (tr)① (...から)逃げる, のがれる.② 避ける, 遠ざける fuge quaerere (HOR)∥問うことをやめよ.以下略
Fugit は 第3変化動詞 fugiōの三人称・単数・現在。

hōra -ae(属格), f(女性)[Gk]① (昼または夜の12分の1)一時間 ② (pl)時計が告げる時刻;時計.③ 季節.
hōra は 第1変化名詞 hōra の女性・単数・主格または呼格。ここでは主格。

 

【逐語訳】
Fugit(逃げる) hōra(時は).

 

【訳例】
時は逃げる。

 

(古典の鑑賞)
ペルシウス「風刺詩集」第5歌の一節でした。今回は『ローマ諷刺詩集』(ペルシウス/ユウェナーリス作 国原吉之助訳 岩波文庫)を図書館で借りて読んでみました。

詩人の晦渋な文体についての解説がありましたが、「晦渋な」という言葉から、私は存じませんで、何をか言わんやなのですが、確かに、例えば多用される「お前」は誰なのか、「友人なのか、もう一人の自己なのか。どこにでもいる凡人なのか悪漢なのか」判然としません。

しかし、目まぐるしい場面展開の中の、禅問答でたたみかけるような「お前」に対する問いかけは、ある種の軽妙さで、ストア派哲学のお堅い「お説教」に対する読者の警戒心を、かえって和らげているようにも感じました。

ペルシウスは西暦62年、27歳で夭折しますが、その詩作の時代は、ちょうど皇帝ネローの治世の後期。モノの言いにくい時代、ペルシウスは、範とした共和制時代のルーキーリウスとはまた違った風刺スタイルを生み出したのでしょう。

ともあれ、ペルシウスの詩集は「出版と同時に熱烈に歓迎された」とのこと。後代にあっては「晦渋」に感じられるものでも、時代の空気の中では、「そうだよね」「その通り!」と、広く深く共感を得ていたのかも知れませんね。

そう言えば、現代の日本も、昨年の「報道の自由度ランキング」は世界67位とか。
いつの世も、と言うと人ごと過ぎるでしょうか。

 

 

(文法の学習)

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